アレルギー性鼻炎について

アレルギー性鼻炎は、スギやヒノキなどの花粉、ハウスダスト、ダニなどに対するアレルギー反応によって、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが生じる病気です。
毎年つらい症状に悩まされる方も多く、**生活の質(QOL)**を大きく損なうことがあります。
当院では、症状を和らげる薬物療法から、根本的な改善を目指す免疫療法まで、幅広い治療を行っています。
アレルギー性鼻炎の診断について
診断では、問診(症状や生活環境の確認)に加え、アレルゲンの特定や症状の重症度評価が重要です。
当院では、以下のような方法で正確な診断を行います。
1. 問診・診察
- いつから症状があるか
- 季節によって変化があるか(季節性か通年性か)
- 家族にアレルギー体質の方がいるか
- 自宅の環境やペットの有無
これらを丁寧にお伺いし、鼻腔・喉・目の状態を確認します。
2. 血液検査(アレルゲン特異的IgE検査)
血液検査により、スギ・ヒノキ・ダニ・ハウスダスト・動物の毛・カビ・食物など、どのアレルゲンに強く反応しているかを調べます。
治療について
1. 薬物療法(対症療法)
アレルギー性鼻炎の症状をやわらげる薬は、以下のような種類があります。
抗ヒスタミン薬(内服)
アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」の働きを抑えます。
主な薬剤
アレグラ、クラリチン、ザイザル、デザレックス、ビラノア、ルパフィン など
特徴
- 眠気が少ないタイプが多く、日中の活動に影響しにくい
- 1日1回の服用で効果が持続
ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服)
主に鼻づまりに効果がある薬です。
主な薬剤
モンテルカスト(キプレス、シングレアなど)
特徴
- 他の薬と併用して使用されることが多い
- 気管支喘息の治療にも使われることがあります
ステロイド点鼻薬
鼻の粘膜に直接作用し、鼻づまりや鼻水を抑えます。
主な薬剤
モメタゾン(ナゾネックス)、フルチカゾン(アラミスト、エリザス)など
特徴
- 特に鼻づまりに対して高い効果
- 長期使用が可能で、全身への影響はほとんどありません
点眼薬(目のかゆみ)
目の症状がある方には、抗アレルギー点眼薬を併用することがあります。
2. 舌下免疫療法(スギ花粉・ダニアレルギー)
アレルゲンを少量ずつ取り入れ、アレルギー反応を起こしにくい体質へと改善を目指す治療法です。
対象
スギ花粉症、ダニアレルギー(血液検査での確認が必要)
主な薬剤
- シダキュア(スギ花粉)
- ミティキュア(ダニ)
服用方法
1日1回、舌の下に薬を2分間保持し、その後飲み込みます(自宅での服用が可能)
治療期間
3〜5年間の継続が推奨されます
開始時期
スギ花粉症の場合は、花粉の飛散時期以外(5月~12月)に開始するのが理想です
メリット
完治や長期的な症状の軽減が期待できます
- 定期的な通院と自己管理が必要ですが、長期的に見て非常に効果的な治療です。
3. オマリズマブ(ゾレア)|注射による新しい治療法
重症のスギ花粉症に対して保険適用となっている注射薬で、「抗IgE抗体」によってアレルギー反応の根本を抑制します。
対象となる方(以下すべてを満たす必要があります)
- スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎と診断されている
- 血液検査でスギ特異的IgE抗体がクラス3以上である
- 通常の治療(抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイド点鼻薬など)でも症状が十分に抑えられない重症または最重症の方
投与方法
- 体重と血清中IgE濃度に応じて、1回75〜600mgを2〜4週ごとに皮下注射します。
- 保険適用外の場合も、症状に応じて自費診療での対応が可能です。
まとめ
アレルギー性鼻炎は「毎年仕方ない」とあきらめがちですが、今では症状を効果的に抑える方法や、根本から改善する治療法も選択できるようになっています。
当院では、生活スタイルや症状の強さに応じたオーダーメイドの治療プランをご提案しております。
つらい鼻炎症状にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。