思春期・成人に多い
食物アレルギーについて

「食物アレルギー」と聞くと「子どもに多いもの」というイメージがあるかもしれませんが、思春期以降や大人になってから発症するケースも少なくありません。
「昔は普通に食べられていたのに、急に症状が出るようになった」「ある特定の食べ物を食べると体調が悪くなる」——そんな経験はありませんか?
主な原因食品
成人に多く見られる食物アレルギーの原因となる食品には、以下のようなものがあります
- 甲殻類(エビ・カニ)
- 果物(リンゴ、モモ、キウイ、バナナなど)
- ナッツ類(クルミ、カシューナッツ、アーモンドなど)
- 魚卵(イクラ、タラコなど)
- 小麦や大豆(加水分解された加工食品でも注意が必要)
- そば
- ピーナッツ
果物アレルギーの中には「花粉症との関連(PFAS)」によって起こるものもあります。
主な症状
食物アレルギーの症状は、食後数分〜2時間以内に現れることが多く、以下のようなものが見られます
- 口の中のかゆみ・しびれ
- 喉の違和感や腫れ
- じんましん・皮膚の赤み
- 腹痛・吐き気・下痢
- 咳や息苦しさ
- 血圧低下や意識障害(アナフィラキシー)
症状の程度は個人差がありますが、命に関わることもあるため、早めの受診と正しい対処が重要です。
診断
当院では、以下の方法で原因となる食品を特定します
- 問診(いつ・何を・どれくらい食べたか、症状の出方など)
- 血液検査(特異的IgE抗体検査)
治療と対応
- 原因食品の除去
- 症状予防・緩和のための薬物治療
- エピペン®(アドレナリン自己注射薬)の処方:重度の方に対して、緊急時の備えとして処方します
- 食べられる食品の評価と食事指導
- 自己判断での除去は、栄養バランスの偏りや生活の質の低下につながる可能性があるため、必ず医師の診断を受けましょう。
特殊なタイプの食物アレルギーにもご注意を
PFAS(花粉-食物アレルギー症候群)
花粉症と関連する食物アレルギーの一種です。スギ・シラカンバ・ヨモギなどの花粉に含まれるアレルゲンと、特定の果物や野菜のたんぱく質が似ているため、交差反応が起きてアレルギー症状が出ます。
主な症状
口や喉のかゆみ・ピリピリ感、軽い腫れなど
原因食品の例
- スギ花粉:トマト
- シラカンバ花粉:リンゴ、モモ、キウイ、ナシ、サクランボ、ニンジンなど
- ブタクサ花粉:メロン、スイカ、バナナなど
特徴
- 食後すぐに症状が出るが、多くは軽度で短時間
- 加熱するとアレルゲンが変性し、症状が出ないこともある
- まれに全身症状が出ることもあるため、自己判断せず医師の診察を受けることが大切です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
「食べただけでは大丈夫だったのに、運動したら急にアレルギー症状が出た」——このようなケースが「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」です。
主な原因食品
小麦、エビ、セロリ、果物、ナッツ類など
症状の流れ
- 食事を摂る
- 数時間以内に運動(ウォーキング、体育、部活など)
- 全身のじんましん、腹痛、呼吸困難、血圧低下などが出現
特徴
- 同じ食品でも「運動しなければ」症状が出ないこともあるため、発見が遅れることがある
- 女性や若年層にやや多く見られる傾向
診断には詳しい問診とアレルゲン検査が必要です。必要に応じて、予防のための運動制限、除去食の指導、エピペン®の携帯などの対応を行います。
気になる症状があれば、
お気軽にご相談を
「外食後にじんましんが出た」「フルーツを食べると口がかゆくなる」「市販のお菓子を食べると体調が悪くなる」——このような症状がある方は、思春期・成人の食物アレルギーの可能性があります。
当院では、正確な診断と無理のない生活指導、必要に応じた緊急対応薬の処方まで、丁寧にサポートしています。
お気軽にご相談ください。